#33

5つの人間関係力

 

第1は「正対コミュニケーション力」。

これは、相手の心に「正対」して対話をすることができる力である。

人間関係がおかしくなるのは、実は、「どうせあの人は」という形で、偏見や決めつけで相手を見るときである。だが、偏見や先入観を持たず、虚心に相手の心に正対して向き合うとき、不思議なほど、人間関係は改善していく。

 

第2は「非言語コミュニケーション力」。

これは、相手の「無言の声」に耳を傾けることができる力である。

誰の心の中にも、言葉で語らない隠れた「本音」や「本心」があるが、その表情や眼差し、仕草の奥にある「声なき声」に心を向ける細やかさがあれば、人間関係は、必ず良き方向に向かう。

 

第3は「課題アクセプタンス力」。

これは、目の前の問題を、自分の成長の課題として「引き受ける」ことができる力である。

逆に言えば、起こった問題を常に他人の責任(他責)にする人は、成長もできず、多くの場合、周囲との人間関係を損ねていく。

 

第4は「和解アクション力」。

これは、心が離れてしまった相手とも、自分から心を開いて「和解」することができる力である。真の人間関係力とは、決して人とぶつからない力ではない。たとえぶつかっても、しなやかな心で和解できる力である。

もとより、自分から心を開き、声をかけることは容易ではないが、これができたとき、以前よりも相手との関係が深まっていることは、しばしばある。

 

第5は「自我マネジメント力」。

これは、自分の心の中の「小さなエゴ」の動きを見つめることができる力である。

人間関係が下手な人は、しばしば「自分が見えていない」という状態になるが、その「自分」とは「自我」(エゴ)に他ならない。

この「エゴ」は、対人関係において、しばしば厄介な動きをするが、されど、我々は、それを捨てたり、消したりすることはできない。唯一できることは、それを「ただ静かに見つめる」ことであるが、そのとき、不思議なほど、エゴの厄介な動きは鎮まっていく。そして、悩ましく思っていた対人関係も、好転していく。