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組織における心理的安全性とは「自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」を指しますが、この概念が、残念ながら組織内で誤解されているケースが多く見受けられます。

 

心理的安全性を単なる「和気あいあいとした雰囲気作り」「和やかな職場風土」と誤解してしまうと、上司は厳しいフィードバックを避け、メンバー間では過度な慰め合いが進み、結果、組織全体の成果志向が低下して組織の成長の機会を阻害してしまうといった状況に陥ります。

組織における心理的安全性とは、リスクを恐れずに意見を言える環境を指すものであり、決して部下や同僚を甘やかすことではありません。厳しいことを言わず褒め続けたり、飲み会を開催して家族のような関係を築いたりすることでもありません。

成果と直結しない心理的安全性は、従業員の自己改善の機会を奪い、組織全体のパフォーマンス低下につながります。

 

心理的安全性を高めつつ成果を追求するには、適切なバランスが必要です。

まず、管理職はメンバーの意見にしっかりと耳を傾け、尊重する姿勢を崩さないことが重要です。そして、自由な意見表明を促進する一方で、目標達成に向けた具体的かつ建設的なフィードバックを定期的に提供し続けることが必要です。

たとえば、メンバーが自由に意見を言えるような会議の場を設けつつ、その意見がプロジェクトの進行や結果にどのように貢献するかを明確にしてフィードバックを行うなど、成果に結びつく心理的安全性の構築こそが組織にとっての真の価値を生み出します。目標達成に向けて、社員の意見を取り入れながらも、明確なガイドラインと期待を示すことで、心理的安全性と組織の成果は共に高まります。